江ノ島が好きなわけ。
江ノ島でしか味わえない、不思議なのどかさを感じるから。
簡単に渡れるけれど、いちおうれっきとした島だから、確実に本土とは別の時間が流れている。
江ノ島のニャンコたちは、寅二郎にとって、そんな、のどかさのシンボルでもある。
そんなのどかさを、もっと存分に味わいたいので、ある日の午後、江ノ島に渡るまえから、こんな店でビールを飲みながら、お昼を食べた。
ホノルル食堂。
134号線沿いにある。
80年代に藤沢に在住していた村上春樹さんが通っていたというので、いつか行ってみようと思っていた。
看板の店名が異様に小さい(笑)。
村上春樹、なんて名前に惹かれてやってはきたけれど、ほんとうに地味で、素朴。
地味で素朴であること自体が、特徴であるような大衆食堂。
夏は、海の家をやるので、お店は営業していないらしい。
村上さんは、あちこちで、ここのことを書いていて、某誌の江ノ島特集では、
アジのたたきなんかとって、それをつまみに昼間から(昼間しか営業していないんだけど)ビールをちびちび飲んでいると、かなりメロウな気分になれます。
なんて、書いている。
メロウな気分。
たまんないですね。
ほかでは、
グラスにはほんのりと魚の匂いもついています。なかなかハングルーズでいいところですよ。サーファーがここでよく昼御飯を食べています。
ハングルーズ。
って、どういう意味か調べちゃいましたよ。
Hangloose
気楽に行こう、というハワイの俗語だそう。
ビールのグラスから漂う魚の匂い。
メロウ&ハングルーズ。
それ、江ノ島的、かもしれない。
イカの塩辛とビール。
03年の江ノ島取材で、この店を再訪した村上さんは、
10年ぶりぐらいにここに来てみたら、何のにおいもついていないきれいなグラスが運ばれてきました。ま、いいことなんだけどさ。
と、書いている。
いまも、別に魚の匂いはしなかった。
ま、いいことなんだけどさ。
と、つぶやいたりして(笑)。
かき揚げ丼。
そうそう。この店、生しらすとかは、とくに置いてませんから。
地魚てんぷら定食。
穴子、きす、いか、かぼちゃ、ししとう。
てんぷらがたっぷりで、おなかいっぱいになった。
あ。揚げものばかりだ。
昼どきをかなり過ぎていたからか、ホワイトボードのメニューは消されているものが多かったけれど、ほかに、かわはぎの煮つけ定食、お刺身定食、などがあった。
ところで、最近、お? と思ったこと。
ニャンコ漫画に『江の島ワイキキ食堂』というのがある。
えへへ。
「ワイキキ食堂」って、「ホノルル食堂」にインスパイアされたに違いない。
ハワイが夢の南国、憧れの島であった時代のノスタルジー。
けっこう酔っ払ってきたみたい。
じゅうぶんにメロウ&ハングルーズな状態になった鳥造と寅二郎は、ゆるゆると江ノ島を目指して歩いていくのでした。